㈱eumo(ユーモ)代表の新井和宏さん、イノベーション・ファクトリー代表の中島康滋さん、ABCチーフコーディネータの二村康輝さんの3名の方の講演と最後にディスカッション。第一線でそれぞれ活躍されている方だけに、それぞれの話はとても説得力があってなるほどと思わせるものでした。
㈱eumo(ユーモ)代表の新井さん 投信信託の会社を経営されていますが、『良い会社に投資する』というコンセプトが特徴で、我々、投資と聞くとヘッジファンドの高利回りなどで悪いイメージを持ちますが、新井さんの印象は、真逆の方でした。
新井さんの話の中でとても印象深かったことは、企業のあり方、存在意義のようなところをとても大切にされていて、『良い会社に投資する』と考えのベースにつながっているのだと思いました。
企業はお金を儲けることは当然一番大切なところですが、企業は社会基盤としてとても大切であるし、地域のインフラのようなものでもある。セブンイレブンの24時間営業の是非などもこのあたりが議論になっているのだと思いますね。
『この会社がなくなったら世の中が損をする』、このような会社を応援する考えは、世界の投資家についても広がりを見せており、コンプライアンスとか社会性を重視できない会社へ投資しない方向へシフトしているのだといいます。
そして『社会の価値の変化』、企業はこのあたりを見誤るといけないということ。
社会、特に若者の価値観が大きく変化していて、車でいえば所有する喜びからシェアリングへのシフト、駐車場代やら車検料、保険料もばかにならないわけで、そもそも高級車を所有することへの価値も薄れているようだ。
車は単なる移動手段と割り切るのもいいし、キャンプしたければキャンピングカーを借りてもいい、目的に合わせて必要なものを必要なときに借りるというシンプルな考えへと向かっているのだ。
物価が上昇しても個人所得が増えず、派遣労働拡大、終身雇用崩壊、少子高齢化など、社会構造の変化がいろいろなところに影響を与えていて、個人消費については、いかにお金を使わずに楽しむのか?こちらに向かうこともあたりまえと言える。
わからないことがあればスマホで調べればいい、辞書もいらないし、地図もいらない、CD,DVDを買わなくてもユーチューブで音楽や映画もすぐ見れる、SNSやLINEで人とつながれる、スマホの普及が人の行動や消費のスタイルに変化を与える。
だから、新しいライフスタイルなりにあったサービスなり、商品をつくらないと売れなくなるということですね。
続いて、イノベーション・ファクトリー代表の中島康滋さん 社名にイノベーションとあり、まずイノベーションのお話。
最近、ちまたでよく耳にする『イノベーション』という言葉ですが、そもそも『イノベーション』って何?
イノベーションというと新技術・発明などの技術革新をイメージしがちであるが、必ずしもそのような意味ではないらしい。
『モノづくりからコトづくり』とはよく言われますが、アイデアによる新しい価値の創造、これがいま求められていますね。
中島さんも言われた SDGs(持続可能な開発目標)を企業の経営について取り入れていくという考え方。
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジエンダ」に記載されている2016年から2030年までの国際目標について、どのように個々の企業が取り組むべきかということ。
会社使命は『社会の課題を解決するためにイノベーションが必要である』『会社は社会の公器である』つまり、社会貢献していくことと利益を出していくことの両立を求められていて、自社の利益のみを考える経営では通用しなくなってきたということ。
われわれ、中小企業は無関係だよと思いがちかもしれませんが、たとえば町工場で作る自動車部品のひとつがなくても、自動車の製造ラインは停止することでしょう。つまり、誰もがなんらかの形で社会と接点を持ち、また貢献しているということです。
そして、ABC(安城ビジネスコンシェルジュ)チーフコーディネータの二村さんのお話。
いつもお世話になっているABCの二村さんがいったい何を語るのか?とても興味がありました。
安城市の中小企業の特徴としては、トヨタ自動車のお膝元で自動車産業が地域経済をけん引し、自動車部品の依存度が高いこと。
そのような中で、100年に1度と言われる自動車大変革時代を迎えており、まさに変化が求められているということ。
自動車国内生産台数の落ち込み(ただし軽自動車は増加傾向)、自動車部品の中小企業の売り上げ減少(ただし1000人以上の部品メーカは売上増加)など、統計データやグラフなどを用いて、わかりやすく解説してくれました。このようなネガティブなニュースは、あまりテレビなどでも大きく報道されないのではないでしょうか?
厳しい状況の中で、新たな新分野への挑戦、自動車プラスワン(もう一つの柱)という形が望ましいということです。
そのためには中小企業経営者は、プラスワンを模索するにあたって、まずは本業の技術のとがったところ、強みを理解すること、同業者だけでなく、異業種の方との交流を深めて、自社の強みを異分野に活用することの大切さをいわれていた。
そして最後に『もっと自社に自信をもって』と我々にありがたいお言葉を伝えていました。
全体をとおして、有意義な講演会でしたが、いい話だったなで終わるのではなくて、具体的行動に移したいと思うのでした。