【金型の取数の考え方】

金型と製品の見積を作成するにあたり、必ず議論になるのが金型の取数についてです。

 

1ショットで同時に何個成形できるか?

 

普通に考えると取数が多ければ多いほど有利ではないか?と思えますよね。

 

なぜなら、1個あたりの成形加工費を計算する場合、1ショットの加工費を取数で割るため通常であれば安くなるからです。

 

でも、実際に金型の取数が増やした場合のデメリットとは?

 

1)一般的に金型サイズが大きくなります。

 

2)金型が取付できる成形機サイズが大きくなります。(1ショット加工費は高くなります。)

 

3)多数個取ではキャビごとの品質バラツキがでやすい。(キャビごとに寸法精度が変わったり、バリ・ショート等の発生率に差がでやすい。)

 

4)多数個取の内で1個のキャビが故障しても成形できなくなります。(故障の発生率が高くなる)

 

5)製品の予定企画数より減少した場合、金型償却費が高くなる。(取数が少ない方が金型償却費を含めると得する場合も多い。)

 

上記のような多数個取りのデメリットがありますが、まず、成形加工費を低減したい場合も実際には多くあります。

 

金型費用は初期の設備投資にあたりますので、金型費用を金型寿命までに成形する数量で割ったもの、すなわち1個あたりの金型償却費を製品単価に加算してみて、実際にどちらが有利かを総合的に判断します。

 

また、寸法精度や不良率等もランニングコストと考えた場合には、けっして無視できない重要な項目になりますので、お客様にご希望にそって金型の取数を決定しなくてはなりません。

 

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