◎ものづくり白書2018を読む

  出典:経済産業省ものづくり白書2018

 

2018年版ものづくり白書が経済産業省から先月発表されましたね。大規模な環境変化を経営者がいかに感じ取り、どのようにグローバル規模の大変革期に対応すべきかが、今問われているのだと思います。

 

その中で注目したいのが、その2『従来「強み」と考えてきたものが「変革の足かせ」になるおそれあり!』例)すりあわせ重視、取引先の意向偏重、品質への過信。

 

中小企業の部品メーカの多くの場合、まずクライアントの要望を最優先して、常にすりあわせを行い、すばやく俊敏に対応することで信頼を高めることにより次なる受注を確保してきました。

 

一方でどのような商品が売れるのか?販路開拓はどのように拡大していくか?などの戦略はクライアントに依存しやすく、市場のマーティングなどの考え方は苦手なため、自社の強みは何か?どのように活かすか?等の分析がうまくできないのが本音です。

 

また、メイドインジャパンは絶対的に品質が高くて、とにかく品質を重視した良品を作り続ければ必ず売れるのだと言う慢心・過信?が心のどこかにあるのかもしれません。

 

しかしこのようなビジネススタイルは崩壊しつつあります、どちらかと言えば欧米のような契約型ビジネスに移行して、見積、仕様、納期等の条件を提示しあい、ふさわしいメーカー(パートナー)を選択し受発注する...そこに系列や義理人情!?は存在しません。(笑)

 

そのような中で取り組むべき課題は、その3『経済社会のデジタル化等の大変革期を経営者が認識できていない恐れあり』例)ITブーム再来との誤解、足元の好調な受注に対する慢心

 

ここ数年の大きな変化のひとつにスマホやネットビジネスの普及がありますが、一見我々製造業とは無縁に感じますがそれは大間違いで、今後はあらゆるサービス、たとえば家電、車、地図情報、個人情報、人工知能などがすべてネット空間上でつながる。そこで国境の垣根等は撤廃されていき、世界の巨大企業が手を組み、従来型の系列の統廃合・再構築がますます加速するでしょう。そのような中で何が進んで何がなくなっていくのか?このあたりをしっかりと見極めていく必要がありますね。

 

また、最近よく感じることとして その4『非連続的な変革が必要であることを認識できていない恐れあり』例)自前主義の限界、ボトムアップ主義の限界

 

たとえばデジタル技術が進んで3Dプリンタ・3Dスキャナ・3D加工機等が必要になっていますが、デジタル技術の進歩の速度は極めて早く、全ての機器を自前購入は得策ではなく、素材や要求精度等によりIOTによるアウトソーシングも時には必要になります。つまり、仕事の要求のスピードや量が大きく変化する中で、お互いの強みを活かすコラボレーションが今後の経営には必要かと思います。

 

その1『人材の量的不足に加えて質的な抜本変化に対応できていない恐れあり』例)人材スキル変化、デジタル人材不足、システム思考欠如。人材不足は人材育成の遅れとイコールであり時代の速度に対応するためには、全てを自前主義で行うことの限界市場ニーズに対応する機会損失につながる恐れがあります。

 

4つの危機感を読んでみて大変な変革期だなと思いつつも、今すぐ実行できることは何かな?と思う今日このごろ....です(汗)