◎芸能界も働き方改革?

最近の芸能ニュースは、もっぱら 吉本興業の宮迫さんの闇営業の話とか、ジャニーズ事務所の元SMAPメンバーのテレビ局圧力の話とか、朝から晩まで同じような報道が続いていますね。さらには、加藤さんのように吉本興業をやめるとかいいだす人もいて、いったいどうなっているのでしょうか?

 

先日、ジャニー喜多川社長が亡くなった直後に公正取引委員会から、元SMAPのメンバーの独立後にテレビ出演させないような圧力をかけたということで、ジャニーズ事務所に注意があったらしいですね。

 

また、公正取引委員会は、吉本興業のタレントについて雇用契約書がないことを、今回の宮迫さんの闇営業の件もあり、注意をしたそうです。一企業の一タレントの独立やら闇営業や雇用契約について、公正取引委員会が注意をするとはきわめて珍しいことだと個人的に感じました。

 

しかしながら、令和元年は働き方改革のスタートの年でもあり、公正取引委員会は報告書でさまざまな有識者などの意見を取りまとめており、今回の芸能事務所への注意はこれらの流れに沿うものだと思います。

 

公正取引委員会報告書

https://www.jftc.go.jp/cprc/conference/jinzai.html

 

「人材と競争力に対する検討会 報告書」

https://www.jftc.go.jp/cprc/conference/index_files/180215jinzai01.pdf

https://www.jftc.go.jp/cprc/conference/jinzaisetsumeikai_files/jinzai_pamph.pdf

 

「人材と競争力に対する検討会 報告書」にあるように多種多様な勤務形態、フリーランス、個人事業主など組織に属さずに仕事をする人などを含めて、労働基準法、不正競争防止法、独占禁止法など、あらゆる角度から法整備と実態調査を進めています。

 

企業から個人が独立することの妨害行為は、独占禁止法違反、闇営業で暴力団との接触と金銭の受領行為は暴対法の幇助違反にあたり、納税しない芸人は脱税行為にあたりますね。

 

また、吉本興業のような大手企業が個別の雇用契約書がないことや不当に安価な水準で仕事をさせていれば、労働基準法違反に該当するかもしれません。まして、吉本興業の主要株主が大手放送局、広告代理店などであれば、なおさらコンプライアンス違反については、厳しく追及せざるをえません。

 

さらに吉本興業は経済産業省の事業(吉本興業事業概要資料(経済産業省))で数々のイベントに取り組んできた経緯もあり、このような中で 反社会勢力との関係性、契約書なしの問題は明確にクリアにしなくてはならないのです。

 

我々のような製造業の中小企業であれば、全従業員に対して雇用契約書があり、就業規則もあります。これらはすべて労働基準監督署に提出していますから、大手企業であれば行政指導が入ってあたりまえだろうと思います。

 

見習いの芸人が安いのはしかたないとしても、一定の研修期間を設けるとか、契約社員やアルバイトにするとか、雇用契約上でどのような扱いにするのか? もし、契約が不服であれば契約を継続しなければいいわけであって、プロ野球選手と同じように球団と交渉して契約更新するかを決めていくようなしくみを作らないといけないでしょうね。

 

かつての芸人と付き人、落語家と弟子のような昭和のような家族的な関係性が壊れて、吉本興業のように多数の芸人を抱える大企業となったのだから、おのずとは企業のありかたは変わらなくてはなりません。ある意味、相撲協会などの話にも通じるところがあるかと思います。

 

令和の時代となり、芸能界と言えども吉本興業のように大手企業で何千人も従業員を抱える会社であれば、単なる口約束とかはありえないはずで、逆に昭和のにおいのする前近代的な社風なのだと思います。

 

アンフェアな時代は終わり、透明性の高い業界へと変わっていくための過渡期で、多種多様な国籍、性別、信条などの人々が同ー条件で仕事をフェアにしていくためには、契約書などを作成することは、必要なプロセスなのだろうと思います。