◎『暗黙知』の見える化

我々、製造業や伝統工芸等で言われる職人技。これらは、よく言われる『暗黙知』の賜物です。

 

『暗黙知』とは? 言葉に表せない知識のことであって、製造業でいう『カン・コツ』あるいは『ノウハウ』みたいなもの。

 

たとえば、寿司職人は、シャリの大きさや握りの強さをいちいち数値化していないが、見事な再現性があり、場合によっては、米の炊き加減や気温などを感じ取り、微妙な手の感性で調整ができるという。

 

知り合いのバーテンダーが、カクテルのシェーク(かき混ぜる作業)をしている際に、『何回シェークするといいか?』質問したことがある。

 

なぜなら、自分はたまにシェーカでカクテルを作ることがあるのだが、いつも味が違う(笑) 再現性がない...

 

バーデンダー『回数は決めたことがない。手に伝わる温度が適温になったら、シェークをやめている。』

 

このバーテンダーの作業方法を仮に未経験の新人に教えようとすると、うまく伝えるには、どのようにしたらよいのだろうか?

 

たとえば、プロのテクニックを伝授するためにプロが手に感じた適温時のシェーカーの温度を測定してみる。

 

その時の温度のシェーカーを新人に触らせて感覚を覚えさせる、実際にシェークさせて温度を当てさせてる、回数と温度と手の感覚を手順を踏んで習得させる...などなど

 

現代の管理手法であれば、シェーカーに温度計を取り付けて規定温度になったら、ブザーがなりシェークをやめるとかを取り決めて、作業手順書をつくれば、誰でも作れるようになるかもしれない。

 

しかしながら、作業手順を決めないとできない作業者は、少し違うタイプのカクテルを作るとか、客の好みに合わせる等のアレンジはできない。また、相違工夫がなかなか生まれないかもしれない。

 

昔の『技は見て盗む』といった古典的な時代は終わり、いかに短時間で技術を習得させるかは、どの産業においても重要になっている。

 

ベテランは、『暗黙知』を技術の伝承のために『見える化』しなくては、次の世代になかなか伝えることはできないのだ。