◎東レがトヨタに異議あり

トヨタナフサをご存じだろうか? 

 

トヨタナフサとはトヨタが定めるプラスチック材料価格の元となる指標のことを言い、プラスチックの原材料の元は原油からできているため、その原油から最初に出てくる基礎科学材料ナフサの価格を元に半期に一度、プラスチックの原料の売買価格を取り決めています。

 

1991年以降、このトヨタナフサに従い、自動車業界の材料の取引価格と製品の売買価格を連動させる慣習が続いてきたものの、業界最王手の一角である東レから昨年末に異議申し立てが出ましたが、極めて異例なことと言えます。

 

理由としては、ナフサの価格は本来は樹脂材料とほぼ一致することで指標として使われてきたが、ナフサ価格と樹脂材料の価格に乖離が見られるようになったからである。具体的にはここ1年ほどナフサ価格は極めて低い水準で推移しているのもかかわらず、ナフサ価格に反して材料価格が下がらないためであり、特にナイロンやPPS等の高機能樹脂材料がその一例である。 

出典:日経電子版

 

ナフサの価格はシェールガスなどで原油の需要が落ち下げたものの、一方で高機能材料に添加して性能向上を図るベンゼン等の価格上昇していることが材料価格が下がりにくい大きな理由となっています。

 

トヨタナフサにより樹脂材料の価格と樹脂を使うプラスチック製品の価格を取り決めてきたものの、今後増加が予想される高機能樹脂はナフサ価格の相場と合致しないものが多く、そのために発生する不利益は、材料メーカーやサプライヤーが負担している側面も見られます。

 

電気自動車の普及で、金属からの代替材として炭素繊維樹脂等の高機能樹脂が、軽量化や耐熱性向上等のためにますます増加する傾向がある中、最大手であり炭素繊維樹脂やPPS等の高機能樹脂で高い技術を持つ東レの動向によって、トヨタグループがどのような対応となるのかがとても注目されます。